研究実績の概要 |
1.Nkx2-6タンパク質変異体の細胞内局在の解析 Nkx2-6タンパク質に存在する3つのドメイン(TNドメイン [TN]、ホメオボックス [Hox]、Nk2- specificドメイン [SD])をそれぞれ欠損させた変異体タンパク質を293T細胞に発現させた。その結果、Hox欠損タンパク質は細胞質に点在したが、他の欠損体や野生型タンパク質は核内に限局していた。従って、Nkx2-6タンパク質の保存ドメインのうちHoxドメインは核内移行に関与することがわかった。 2.精巣で発現する遺伝子におけるNkx2-6による転写調節の解析 前年度において、2つの遺伝子(Prm1, Akap3)は、精巣で発現し、上流域(-200~-300bp付近)にNkx2-6予想結合配列を有する遺伝子として見出された。各遺伝子のNkx2-6予想結合配列を変異させたDNA断片をレポータージーンアッセイ用ベクターに挿入したのちGC-1 spg細胞に導入してプロモーター活性を解析すると、野生型DNA断片とは異なりNkx2-6を強制発現させてもプロモーター活性が上昇しないことがわかった。従って、Prm1, Akap3の各遺伝子は、Nkx2-6予想結合配列を介してNkx2-6による転写調節を受けることが示唆された。 3.Nkx2-6変異体によるPrm1, Akap3遺伝子のプロモーター活性化 1.で作製したNkx2-6変異体発現ベクターと、Prm1, Akap3各遺伝子の上流域を挿入したレポータージーンアッセイ用ベクターをGC-1 spg細胞に導入してプロモーター活性を解析した結果、いずれのNkx2-6変異体もNkx2-6野生型と異なり、プロモーターの活性化を誘導しないことがわかった。従って、Nkx2-6タンパク質の保存ドメインのうち、HoxのみならずTNおよびSDドメインも転写活性化に関与する可能性が示された。
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