研究課題
平成26年度は、前年度に終了したブタでの骨格筋、脂肪組織、脂肪前駆細胞、脳下垂体、肝臓について食肉形質、生活習慣病関連遺伝子の次世代シーケンサーによるウルトラディープバイサルファイトシーケンスの結果から、各組織の特定細胞のみから発現する遺伝子に注目し、アリル毎のメチル化状態をもとに組織中の特定細胞の存在比を推定する方法を確立した。これにより、脂肪前駆細胞から分化した脂肪細胞および脂肪組織での脂肪細胞の存在比を推定し、メチル化改変による脂肪細胞分化誘導効率の評価が可能になった。また食肉形質に重要な脳下垂体や肝臓からの成長因子発現細胞である成長ホルモン産生細胞や肝実質細胞について、脳下垂体、肝臓組織中での存在割合を推定することも可能になった。さらに上記組織中で細胞種特異的DNAメチル化パターンを示す遺伝子について、プロモーター領域に存在する内在性アンチセンス非コード(ASnc)RNAを同定することが出来た。以上の結果からプロモーターASncRNAによるDNAメチル化改変の基盤となる細胞種特異的DNAメチル化パターンおよび内在性ASncRNA同定の基盤構築が終了した。
2: おおむね順調に進展している
脂肪細胞特異的DNAメチル化パターンを示す遺伝子を同定し、それらのアリル毎のDNAメチル化状態から、食肉形質に直結し、ヒト生活習慣病でも重要と考えられる脂肪細胞について、脂肪組織での存在割合や脂肪前駆細胞からの分化効率を評価することが可能になった。さらに、DNAメチル化状態とASncRNA発現状態が逆相関することが示された遺伝子については、ASncRNAの分解や強制発現によるDNAメチル化改変の基盤構築が完了した。また、本研究で確立した組織中での特定細胞の存在割合推定法を用いて、食肉形質につながる骨格筋の成長に重要な成長因子の主な供給源である脳下垂体や肝臓において、成長因子の発現細胞である成長ホルモン産生細胞や肝実質細胞の組織中での存在割合を推定することにも成功した。
骨格筋細胞、脂肪細胞の増殖、分化に重要な遺伝子について、DNAメチル化状態と内在性ASncRNA発現状態が逆相関していることを同定したものについて、内在性ASncRNAのshRNA導入による分解や、ASncRNA強制発現などにより、脂肪前駆細胞や胎仔繊維芽細胞でのDNAメチル化改変を試み、骨格筋細胞や脂肪細胞の分化誘導効率化を検討する。
平成26年度は、非コードRNAの同定に関して当初計画より開始時期が遅れたため次年度使用額が生じた。
平成26年度に引き続き行っている非コードRNAの同定に使用する予定である。
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Mech Dev
巻: 136 ページ: 143-154
10.1016/j.mod.2014.12.003.
BioMed Res Int
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