研究課題/領域番号 |
25450475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三好 和睦 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70363611)
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研究分担者 |
窪田 力 鹿児島大学, 獣医学部, 教授 (80420652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 体細胞クローニング / 核移植 / マイクロミニピッグ |
研究概要 |
最初に、成体のマイクロミニピッグ(3歳雄)から腎臓を採取し、それらに由来する細胞株を得た。また、5頭のマイクロミニピッグ新生児(雄3頭および雌2頭)の耳介に由来する細胞株も樹立した。これらの細胞を除核した食用ブタ成熟卵子に移植することにより体細胞クローン胚を作出し、それらの体外発生状況について調べた結果、いずれの細胞を用いた場合にも11.5~25.4%のクローン胚が胚盤胞にまで発生した。また、得られた胚盤胞の平均細胞数も35.6~53.8個であったので、胚盤胞形成能はクラウン系ミニブタ体細胞に由来するクローン胚に匹敵すると考えられた。成体腎臓由来細胞を用いて作出したクローン胚59個、雄新生児耳介由来細胞を用いて作出したクローン胚50個および雌新生児耳介由来細胞を用いて作出したクローン胚46個を1頭の発情同期化処理したマイクロミニピッグ仮親の卵管に外科的移植した結果、帝王切開により1頭の産子が得られた。この産子は産後間もなく死んでしまったので病理解剖を行ったが、奇形などの異常は見られなかった。この産子がどの体細胞に由来しているのかを明らかにするために、現在ドナー体細胞、クローン産子および仮親のマイクロサテライト解析を行っているところである。さらに人工授精したマイクロミニピッグから4頭の胎児を採取し、それらに由来する細胞株を樹立した。これらの胎児線維芽細胞を用いて作出したクローン胚を体外培養した結果、いずれの細胞を用いた場合にも21.4~29.0%の胚が胚盤胞にまで発生した。また、得られた胚盤胞の平均細胞数は35.2~42.9個であった。以上の結果から、マイクロミニピッグ体細胞クローン胚が胚盤胞にまで体外発生し得ることが明らかになった。また、それらのクローン胚が産子への発生能を維持していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、体細胞クローンマイクロミニピッグを得ることに成功したから。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究において体細胞クローンマイクロミニピッグの作出に成功した核移植技術をより効率的なものに改善する。平成25年度の研究では使用されなかった体細胞(新生児耳介由来細胞および胎児線維芽細胞)を用いて作製したクローン胚を仮親に移植し、産子への発生能を比較することによって体細胞クローンマイクロミニピッグの作出に適したドナー細胞を明らかにする。また、クラウン系ミニブタにおける体細胞核移植の効率化に寄与した処理(レシピエント卵子の体外成熟培養時における振動の付与、超音波照射によるクローン胚の活性化、活性化処理後のクローン胚に対するバルプロ酸あるいはラトランキュリンA処理)がマイクロミニピッグ体細胞クローン胚の体外発生状況に及ぼす影響について調べ、必要に応じて各処理を最適化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
体細胞の採取用および体細胞クローン胚の仮親用として購入する予定であったマイクロミニピッグを鹿児島大学獣医学部および富士マイクラ株式会社から無料で提供して頂いたから。 体細胞クローン胚の仮親として使用する雌マイクロミニピッグの購入に充てることにより、移植実験の回数を増やしたいと考えている。
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