研究課題/領域番号 |
25450478
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
横山 真弓 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (50344388)
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研究分担者 |
淺野 玄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30377692)
佐藤 宏 山口大学, 獣医学部, 教授 (90211945)
中村 幸子 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (70543289)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | クラウドGIS / 捕獲体制 / 出没ルート / ロタウイルス |
研究実績の概要 |
2年間で収集した出没ルートや被害情報など収集したデータと六甲山系の航空写真をGISシステムに整備し、時系列的に動画で、出没状況がわかるクラウドGISシステムを構築した。インタネット上で関係者が同時にリアルタイムの情報共有ができる形となり、出没の空間的時系列的関係性を共有するシステムとして新しい取り組みが可能となった。 また、都市部における餌付け問題を解決できない背景として、人間側の要因も強い。そこで、住民や観光客などに餌付けに対する考え方や条例に対する認知度を明らかにするためのアンケート調査を行った。餌付けを引き起こす心理として、「六甲山に餌がない」「六甲山では生活できない」といった誤った認識が根深いことが明らかとなった。また、神戸市民の条例に対する認知度は高いものの県外から来る観光客にはほとんど知られておらず、イノシシの被害に無防備な状況であることが明らかとなった。 さらに、イノシシが高密度に生息するにも関わらず、これまで捕獲が実施されてこなかった地域において、地域住民や関係機関と連携し、捕獲体制を整え、捕獲を実践した。3か月間同一場所で15頭のイノシシと4頭のニホンジカの捕獲に成功した。 捕獲個体の分析から、人獣共通感染症としてリスクが懸念されていたロタウイルスを78個体について分析した。その結果1個体から遺伝子が研修されたが、ロタウイルスについてはリスクが低いことが明らかとなった。 以上のようにイノシシが都市に出没する上でリスクとなる4つの項目について分析とモデル的対策を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、データを集約し、イノシシの出没地点やその特徴をリアルタイムで関係者が同時に確認できるシステムをクラウドシステムを使ったGIS上に構築することができ、データをすべて挿入することによって、分析できる基盤がほぼ整った。また、人間側の餌付けの背景や地域と連携した捕獲体制の構築、ロタウイルスのリスク評価などイノシシ管理に必要な実務的なモデルに取り組むことができ、管理手法もほぼ明らかとなった。本年度はとくに現場での具体的な取り組みを中心に行うことができ、最終年までに取り組む実務管理は予定以上に実施できた。しかし、印刷物などの発行ができなかったため、最終年にすべてまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
イノシシのリスク評価に必要なデータやリスクを低減するための管理手法について情報がほぼ集約できたため、これらについて、多角的な評価を得るため、国際学会で発表する予定である。また、神戸市民のイノシシに対する誤った認識が明らかになったことから、市民向けのシンポジウムを開催し、適切な普及啓発を行う。これらの取り組みによりイノシシの都市出没リスクを低減する取り組みを行い、具体的な対策に結び付ける。また、国際学会において評価をうけたのち、学術論文及び一般向けのレポートを作成し出版する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実務的な取り組みが大きく進み、平成26年度はその取り組みに集中したため、学会発表や論文作成にかかる経費が必要なくなったため、次年度に利用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
英文校閲費として支出予定。
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