研究課題/領域番号 |
25450481
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大石 勲 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (50314472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 始原生殖細胞 / ニワトリ / 遺伝子組換え / 人工染色体 / 遺伝子発現 / トランスポゾン |
研究実績の概要 |
体内受精し卵発生するという独特の発生形態に起因し、ニワトリをはじめとする鳥類の遺伝子操作は他の生物種に比べて大きく遅れている。一方でニワトリの遺伝子改変技術が今後発展することにより、バイオ医薬品等の高品位蛋白質を鶏卵内に安価に大量生産することが可能になると期待されている。本研究で申請者らは外来遺伝子産物を安定的にニワトリに発現させる技術開発を行っている。昨年度微小核融合法により樹立した人工染色体を導入したニワトリ始原生殖細胞を用いて、本年度はこれを移植したキメラニワトリの樹立と解析を行った。ニワトリ初期胚(2.5日胚)血液中に約2000個の人工染色体導入始原生殖細胞を移植し、18-20日胚の生殖巣を解析した。移植細胞の生殖巣寄与率は5-20%以下と低いものの精細管内に定着し、生殖細胞分化が期待された。一方、人工染色体を導入した生殖巣キメラニワトリを樹立し、後代検定を行ったが現在までのところ組み換え後代は得られていない。また、外来遺伝子安定発現の別の試みとして、従来行われていないニワトリ染色体の複数箇所に外来遺伝子を導入する技術の開発を行った。トランスポゾンシステムを用いて外来遺伝子複数コピーを始原生殖細胞へ導入した。この細胞を上述と同様にニワトリ初期胚に移植し、生殖巣キメラニワトリを樹立後、後代検定を行った。103羽の後代のうち移植細胞由来後代が32羽、うち外来遺伝子を有する組換え後代が21羽得られた。組換え後代の有する外来遺伝子コピー数を複数羽の個体において検定したところ1-8コピーの外来遺伝子が染色体上の複数部位に存在することが明らかとなった。本技術を活用することにより、組換えニワトリにおける外来遺伝子の安定発現技術に繋がると大いに期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工染色体導入キメラニワトリの作出を達成するとともに、外来遺伝子の安定発現に繋がる複数コピーの遺伝子導入ニワトリ後代の樹立に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
人工染色体導入キメラニワトリのキメラ率向上や後代取得を目指すとともに、複数コピーの外来遺伝子導入を達成した組換えニワトリが今後安定発現を持続するか、またその後代における発現動態はどうか等の解析を行う。
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