研究課題
Bombyx mori macula-like virus(BmMLV)は、カイコ培養細胞から発見された持続感染型RNAウイルスであり、無病徴でありながら大量のウイルス粒子を産生する特徴がある。近年では、カイコ培養細胞のみならず、ミツバチやミツバチヘギイタダニからも本ウイルスの仲間が発見されており、その増殖メカニズムは興味深い。本年度はまず、BmMLVの安全性を確認するために、数種の哺乳類培養細胞において本ウイルスが増殖可能かどうか調査した。その結果、哺乳類由来培養細胞においてはBmMLVは増殖しないだけでなく、BmMLVを添加してもこれら哺乳類細胞の増殖自体に影響を与えないことが明らかとなり、その安全性が確認出来た。更に、本ウイルスをカイコ由来培養細胞へ接種した後、継時的なRNA-seq解析を行った。その結果、BmMLVの感染による宿主遺伝子の転写は10のクラスターに分類され、細胞接着因子を始めとして多くの宿主遺伝子の転写量が変動していることが明らかとなった。また、本年度はBmMLVの増殖について、他のウイルスとの共感染実験に取り組み、あるウイルスにおいては緊密なウイルスーウイルス間の相互作用が存在することを見出した。これらの結果は非常に興味深いものであり、今後も本ウイルスの解析を切り口とした、RNAウイルスの持続感染メカニズムの解明に取り組む予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
J. Virol. Methods
巻: 229 ページ: 24-26
10.1016/j.jviromet.2015.12.002.
In Vitro Cell. Dev. Biol. Anim.
巻: 52 ページ: 265-270
10.1007/s11626-015-9972-1.