無脊椎動物における非血縁者間の協力行動の研究は社会性の進化の普遍的な原理を理解するうえで重要である。チクシトゲアリは血縁のない創設女王どうし共同越冬し、協力してコロニーを創設するが、成熟したコロニーでは単女王となり、女王は攻撃的になる。(1)越冬前の創設女王は巣仲間かどうかに関係なく協力するが、越冬後は巣仲間に対してより協力的にふるまうこと、(2)成熟したコロニーの敵対性を示す女王の脳内オクトパミン濃度は有意に増加すること、(3)オクトパミンを創設女王に経口摂取させると敵対的な行動を誘導できることを明らかにした。本研究は協力行動が維持される要因の解明に貢献する重要な研究へと発展しうる。
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