ナミヒメハナカメムシ由来の共生細菌スピロプラズマの寒天培地上での培養を検討した。液体培地でリンスしたものとそのあとすり潰したものとの間で出現するコロニー数に大きな違いがあったことから、スピロプラズマは主にカメムシの体内に存在していることがわかった。また、コロニーが肉眼で確かめられるようになるのに25度で2週間以上を要することがわかったが、出現するコロニーについて、通常の大きさのものとは別に非常に小さなコロニーの存在が確かめられた。液体培地で培養した後、寒天培地に撒くとこのような小コロニーは出現しないことから、小コロニーが本来カメムシ体内での状態であるが、栄養条件の厳しい培地上で変異が起きた可能性が考えられる。この可能性についてはさらなる調査が必要である。さらに大量培養したスピロプラズマからプラスミドの抽出を試みたが、プラスミド様ゲノムの存在は認められなかった。このため、形質転換のための素材が手に入れないことが判明した。また、培養不可能と考えられている細胞内共生細菌ボルバキアの単離培養を様々な培地条件において試みた。数多くの栄養条件を試したにもかかわらず、固形培地においては一切コロニーの出現はみられなかった。現在、様々な液体培地での培養を試みている。固形培地でのコロニーは得られないにしても液体培地での増殖がうまくいけば、今後様々な解析が可能になると思われる。
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