研究課題
本研究を通して、最も強い生プラ分解能を持つ真菌は、オオムギ葉面から分離された胞子形成の認められない未同定の菌株B47-9であった。しかし、rDNAの解析でParaphoma属に近縁であることは明らかとなっていたが、その所属は不明のままであった。本菌の産生する酵素を圃場等に利用する場合、菌株情報として分類・同定を行うことは不可欠である。そこで、複数の遺伝子部位のsmall subunit 18S rDNA (SSU)とlarge subunit 28S rDNA (LSU)の配列用いた多座遺伝子座およびITS領域の解析を最尤推定法と近隣結合法の二つの系統樹を作成し、分類的位置づけを行った。多座遺伝解析の最尤推定法の結果、本菌はParaphoma chrysanthemicolaと同じクレードに含まれていた。さらにITS領域の近隣結合法でも同様にP.chrysanthemicolaと同じクレードに含まれた。以上の結果から、本菌は胞子形成が認められないため、完全には種の同定が困難であるが、Paraphoma属菌であることはあきらかであり、ほぼP.chrysanthemicolaであると判断していいことが明らかになった。研究期間を通じて、日本の様々な地域の試料から生分解資材の分解菌を探索した結果, 167菌株の分解菌が分離された.それらを形態やITS1-5.8S rDNA領域の配列解析により同定したところ, Cladosporium属菌31株,Alternaria属菌17株,Aspergillus属菌13株のような汎存種が分離された.冷涼な気候や亜熱帯のような地理的条件に関わらず,日本各地から生プラ分解菌が分離されることが示された.
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Journal of Oleo Science
巻: 65 ページ: 未定