研究課題/領域番号 |
25450503
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田渕 研 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産環境研究領域, 主任研究員 (90531244)
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研究分担者 |
土田 浩治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00252122)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 景観遺伝学 / 景観生態学 / 生物的防除 / 遺伝子マーカー / カメムシタマゴトビコバチ / ダイズ / 半自然植生 |
研究実績の概要 |
天敵昆虫による害虫抑制効果は重要な自然資源(=生態系サービス)の一つであり、持続的で環境負荷の少ない農業生産における重要な資材の一つである。自然資源としての天敵昆虫を保全し、効率的に利活用するためには、圃場周辺の土地利用に着目した移動実態の解明が必要である。本研究では、発生源・農地を含む広域スケールで天敵昆虫の移出入を精緻に解明する。「土地利用情報」と「マイクロサテライトマーカー」を用いた解析から土地利用と遺伝子情報の関係を地図化し、さらに遺伝子流動解析を行うことで農地への移出入実態を明らかにする。今年度はカメムシタマゴトビコバチの発生量調査(継続)、遺伝子マーカーの追加開発、取得データの空間解析を行った。カメムシタマゴトビコバチの発生量調査から、本種の発生源である林縁の雑草地において農地よりも多くの個体が捕獲され、発生源では寄主カメムシ卵の寄生率が高いことも解明された。遺伝子マーカーの開発においては、昨年に引き続きmtDNAマーカーと核DNAマイクロサテライトマーカーの追加開発を行った。また、昨年度までに作成した空間解析用データベースを用いて統計解析に必要な各種土地利用の面積を計算して暫定的な空間統計解析を行い、調査地から半径500m~1km内の林縁長(=林縁にある雑多な雑草面積)が本種の発生量に影響することを明らかにした。遺伝子流動についてはDNAマーカーを用いた移動分散の方向性と空間スケールなどの解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の計画通りカメムシタマゴトビコバチ発生量調査から空間統計解析を行って発生量に影響する空間スケールを特定した。また遺伝子流動についてはDNAマーカーを用いた移動分散の方向性と空間スケールなどの解析に着手した。このため、本年度の目標はほぼ達成したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きカメムシタマゴトビコバチの発生量についてデータとパラメータを追加し、年次間のばらつきも考慮して統計モデルの改良を図る。調査サンプルからの遺伝子多型の解析を継続し、遺伝子流動と圃場への移出入に関連する景観要素について空間統計学的解析を行う。得られた成果は国内外の学会で発表するとともに、普及誌や科学誌へ投稿して成果の普及と社会貢献を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額557,578円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度の研究費と合わせて、研究計画遂行のために使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は調査旅費、ならびにGISを用いた土地利用データ解析とDNA分析補助に関わる人件費、DNA分析や調査に関わる消耗品として本研究費を使用する。また、日本応用動物昆虫学会における成果発表のための学会参加費が必要になる。本成果を学術論文に投稿するための英文校閲料と投稿料として本研究費を使用する予定である。
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