本研究では、天敵昆虫の効率的な利活用に資するため、発生源・農地を含む広域スケールにおける天敵昆虫(カメムシタマゴトビコバチ)の野外調査とマイクロサテライトマーカー解析から農地への移出入実態を明らかにすることを目的とした。トラップ調査から本種の発生源は森林縁の雑草地であり、発生数に影響する土地利用の空間スケールは500m~1kmであることを解明した。またマイクロサテライトマーカー解析から本種が近親交配傾向にあることと移動範囲が500m未満であることを推定した。このため、本種は近親交配を続けながら500m程度の範囲で移動を繰り返し、森林周辺の雑草地から農地へ移入していることが明らかになった。
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