研究課題/領域番号 |
25450508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
柳井 重人 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30241946)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 緑地 / 緑地環境管理 / ランドスケープ / 企業 / 協働 |
研究概要 |
本年度は、①企業と緑地との関わりの歴史的変遷を把握すること、②研究の枠組の設定をするために企業の緑地に対する取り組みを空間的側面、活動的側面、主体的側面、政策的側面から整理すること、③企業緑地のパブリックオープンスペースへの転換に係わる全国動向や先進事例を整理すること等を目的に研究を進めた。 ①に関しては、文献調査等を通じ、企業活動の根底にある法令遵守やそれに基づく環境対応の側面、地域社会や環境への貢献等のCSRの側面、地域や環境に貢献できる有用な技術,サービスや製品等の価値の創造の側面等の関わりの中で、企業の緑地への取り組みが展開されていることが把握できた。 ②に関しては、文献調査や現地視察等により、個々の企業敷地スケールでの取り組みから、地区スケールでの取り組み、地域づくりを視野に入れた取り組みがみられること、工業系の土地利用では、丘陵部や臨海部に立地する工場敷地・団地における生物多様性に配慮した緑地保全・整備、インダストリアルパークとしての工業団地の整備、臨海部における緑のネットワークづくりへの企業参加等が、商業系の土地利用では、業務ビルにおける屋上緑地の公開や公開空地等が、その他には低・未利用となった社有地における緑地整備や再生等の取り組み等がみられ、これらの類型は多面的にとらえられることが把握できた。 ③に関しては、国内各地の先進的な企業緑地の事例を視察するとともに、管理担当者等にインタビューを実施し、個別の取り組みの実態や課題を把握できた。 以上の結果、企業緑地のパブリックオープンスペースとしての再生を考える上では、企業緑地の公開の推進、取り組みを進める上での市民団体、行政、関連企業等との協働の推進、企業緑地におけるマネジメントシステムの構築、イメージや価値の向上を含めた企業戦略との整合性等を検討する必要があることが把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、、①企業と緑地との関わりの歴史的変遷を把握すること、②研究の枠組の設定をするために企業の緑地に対する取り組みを空間的側面、活動的側面、主体的側面、政策的側面から整理すること、③企業緑地のパブリックオープンスペースへの転換に係わる全国動向や先進事例を整理すること等を目的に研究を進めた。これに対し、研究実績の概要に示すような成果が得られたことから、「(2)おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究の成果から、今後の研究の視点として、次のような点が重要になると認識している。すなわち、企業の緑地に対する取り組みやパブリックオープンスペースとしての再生には、①企業緑地の公開が重要であること、②公開された企業緑地の運営には、その緑地を所有する企業のみならず、管理を担当する関連企業、市民団体、専門家との協働が不可欠になっていること、③企業の敷地のみならず地区スケールでの緑のまちづくりにへと展開していくことが必要であること、④これらを促進するための行政の関与や施策の充実が求められること等である。 そこで、平成26年度は、特定の先進事例に着目して、実地におけるケーススタディを行い、上記の研究の視点に沿った検討を行う。ケーススタディでは、対象地の土地利用や緑地分布、緑地の整備・管理状況、緑地の公開や運営に係わる体制、これらを促進する方策、企業担当者や行政担当者の認識等を、文献資料調査、現地踏査および関係者へのインタビュー等により把握する。 加えて、平成25年度と同様に、先進事例の抽出、現地視察等を行う。
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