国内で広く植栽されているサクラの歴史を調べると共に,雑種の親種を,分布や遺伝子レベル,葉,花,種子等の形態によって推定し,作出できる割合を求めた。その結果,①サクラの雑種には,カンヒザクラを親種としたものが多かった。②交雑してから4 年間で生存している割合は,0.2~3.2%となった。③中国,台湾,日本のカンヒザクラは,地域集団ごとに異なる遺伝的組成が示され,早咲きのサクラ品種の親種の多くは,それぞれの国に生育するカンヒザクラに由来していた。④カンヒザクラの交雑によりできた雑種の種子の形態は,種子親によって異なり,このことが種や品種の識別,品種の親種の推定の一助になると考えられた。
|