研究課題/領域番号 |
25450516
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
水田 啓子 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40166012)
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研究分担者 |
船戸 耕一 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (30379854)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小胞輸送 / 酵母 / リボソーム生合成 |
研究実績の概要 |
出芽酵母において,小胞体から細胞膜への分泌経路のどの段階を遮断しても,リボソームの生合成が転写レベルで抑制される。分泌経路遮断によるシグナル伝達に関与するRrs1は、核小体で25S rRNA前駆体のプロセシングと60Sリボソームサブユニットの組立てを調節する必須蛋白質である。Rrs1と相互作用する蛋白質をスクリーニングし、Arp2/3複合体のサブユニットArc35を同定した。分泌経路遮断時のシグナル伝達における機能について検討した結果、アクチン重合の制御系と微小管重合の制御系の両方が本シグナル伝達に重要な機能を持つことを示した。 Rrs1は核小体以外に、核内膜を貫通するタンパク質Mps3の核質側に露出するN末端領域との相互作用に依存して核膜辺縁にも局在する。温度感受性rrs1変異株において、変異型のrrs1タンパク質は核膜への局在を失うと同時に、小胞輸送からのシグナル伝達に欠陥を持つ。そこで、核膜に局在するRrs1が小胞輸送からのシグナル伝達に関与するかどうかについて検討した。Mps3の核質に露出するN末端ドメインを過剰発現させると、Rrs1の核膜への局在が消失する。この時、小胞輸送からのシグナル伝達は弱められた。一方、rrs1変異株にRrs1-Mps3融合タンパク質を核膜に発現させても、rrs1変異株における小胞輸送からのシグナル伝達の欠陥は解消しなかった。この結果は、核膜に局在するRrs1が本シグナル伝達に関与し、その時、Rrs1が自由に移動できることが必要であることを示唆する。これらの結果についての論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画のうち、平成25年度に、1.(1), (2), (3) についての研究実施をほぼ完了していた。平成26年度に、1.(4) と2.について研究を進め、成果を得たので、それらについて現在論文を投稿準備中である。 1.小胞輸送からのシグナルが核に存在するRrs1に到達するまでの伝達機構の解明。アクチンまたは微小管の制御機構、あるいはその両方が本シグナル伝達に関与するのか? (1) Arc35がArp2/3複合体としてシグナル伝達に関与するか、それとも単独で機能を持つか? (2) アクチン細胞骨格と微小管のどちらの制御機構が、あるいはその両方が関与しているか? (3) スピンドル極体が関与しているか? (4) 核膜に局在するMps3が関与しているか? 2.核膜に局在するRrs1が小胞輸送からのシグナル伝達に関与するのか?またその場合、核膜に局在するRrs1はシグナルを受けて移動するのか?
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今後の研究の推進方策 |
「3.小胞輸送からのシグナル伝達に関わるリン酸化カスケードの解明」については、今後研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿中の論文の受理が遅く、掲載料の支払いが来年度になったため
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次年度使用額の使用計画 |
論文掲載料に充てる予定です。
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