研究課題/領域番号 |
25450519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
荻田 信二郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50363875)
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研究分担者 |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
野村 泰治 富山県立大学, 工学部, 助教 (40570924)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タケ / 竹稈 / 生長解析 / 国際研究者交流 / 台湾 |
研究概要 |
タケは単子葉イネ科植物の中で世界最大級、木質に劣らぬセルロース系バイオマスとして有望視されているが、稈に中空を有しており、この特性は材積を著しく低下させる、輸送コストを増大させるなど、タケバイオマスの効率的な活用を妨げる主要因となっている。本研究では、熱帯性タケ数種で知られている「中実=肉厚または中空が存在しない竹稈」の成立要因を解明すると共に、その人為的な制御を可能にする手法を開発し、バイオマス高収量タケ品種作出を達成することを目的としている。今年度の主な研究成果は次の通りである。 ①中実竹稈候補品種の探索:各採取候補地の竹林で、目視による形態観察等を行い、特徴的な形態を示す竹稈が認められれば打音による特性比較、さらには伐採して詳細な解析を行った。具体的には、採取した竹稈の内外径、節間長などを測定すると共に、組織額的特長を観察するための成分染色で評価した。また中実稈候補品種として連軸型バンブーサ属の竹稈を採取し、一部は定植すると共に、その組織形態的特長を解析した。また中実型のマダケ系統を新たに見出したことから、採取した竹稈の育成ならびに各種特性解析を行っている。 ②中実竹稈候補品種のクローン化:候補個体を温室内に定植したところ、バンブーサ属およびマダケ変異種については、新たな竹稈の発生を確認した。また、これまで確立している竹枝の節培養技術を応用することによって、節基部の芽を伸長させ、その後発根に導くことができたことから、各種生長解析に用いるための同候補竹品種の栄養生長モデルの構築が可能であると判断した。 ③イネの緑化促進転写因子として見出されたOsGLK1をタケ培養細胞に導入し、組換えタケ細胞株を樹立した。 ④今後の連携体制を構築・強化していく一環として、台湾からはYeh Ting-Feng博士、バングラデシュからはMD. Ziaul Karim博士を招聘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、①中実竹稈品種の探索、②中実化制御を達成するタケの栄養生長モデルの構築、③各種オーム解析をはじめとする研究基盤の整備を進める計画で開始されているが、①および②については当初計画していた各種解析等は順調に進展している。また海外研究者との協力研究体制を構築するため、2名の博士研究者を招聘できたことは大きな成果につながる進展であると考えている。なお③については次年度以降、順次進めていくことにより対応したい。
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今後の研究の推進方策 |
竹稈の中実状態を非破壊で解析するために超音波探傷法による厚さ測定、すなわち超音波パルス反射法を用いて、作成した各種中空管状試験片(アルミ材、木材(桜)、竹材)の測定条件を検討した。木材および竹材では、それぞれの組織構造的な特徴に加えて含水率により測定の難度が変化することを確認した。この点を次年度以降の検討項目に挙げる。また、選抜した候補中実竹稈の各種解析も順次進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を計画していた物品(測定機器)とセンサの仕様を予備検討の結果を踏まえて再検討したため。 既に新たに選定した機種の購入手続きを行っており、次年度は、必要に応じてセンサ等の改良を行う予定である。その他経費については計画に準じて執行する。
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