研究課題/領域番号 |
25450521
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
竹之内 敬人 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物生体防御研究ユニット, 主任研究員 (20292518)
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研究分担者 |
月本 光俊 東京理科大学, 薬学部, 講師 (70434040)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マクロファージ / アラーミン / GAPDH / 非典型的分泌機構 / エキソソーム |
研究実績の概要 |
危険信号分子アラーミンとは、細菌感染や傷害等の生体の危険を速やかに伝達し自然免疫系を活性化する生体内由来因子の総称である。本研究ではアラーミンとして機能する細胞内蛋白質を同定し、新しい生体防御機構を明らかにすることを目的とする。 昨年度、脳マクロファージであるミクログリアの不死化細胞株MG6を用いて、ATP刺激後に培養上清中に放出される蛋白質を多数同定した。本年度は、その中から数種類の蛋白質について個別にATP刺激によるMG6細胞からの放出をウエスタンブロット法で確認した。神経系やマクロファージ機能との関連を考慮しながら、自然免疫系における役割がまだ明らかにされていない蛋白質を中心にさらに詳細な検討を進める。 また、ATP刺激によるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の非典型的分泌機構について、本年度はマウス肝臓由来マクロファージ(クッパー細胞)の不死化細胞株KUP5を用いて検討した。MG6細胞と同様に、リポ多糖(LPS)で前処理したKUP5細胞をATP刺激することで細胞外にGAPDHが放出されることがわかった。さらに、エキソソームという膜小胞の関与を検討したところ、ATP刺激後に放出されるGAPDHは主にエキソソームに局在することが示唆された。エキソソームは細胞間の情報伝達において重要な役割を持つ膜小胞であることから、GAPDHも細胞間情報伝達分子として働く可能性が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅的解析で同定された蛋白質の中から、アラーミン候補として検討を進めるターゲット分子を主に2種類に絞り込んだ。 マクロファージ系細胞からのGAPDHの非典型的分泌機構について、新たな知見も含めてデータを蓄積した。
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今後の研究の推進方策 |
アラーミン候補として絞り込んだ蛋白質について、マクロファージなどを用いて自然免疫系における作用の解析を進める。また、それらの組換え型蛋白質作製の検討を進める。 マクロファージ系細胞からのGAPDHの非典型的分泌機構に関しては、一度論文としてまとめて投稿したが不受理であった。よって、論文の再投稿に向けて必要なデータをさらに追加する。また、敗血症モデルマウス由来のサンプルを用いて、GAPDHなどのin vivoでの動態を検討する。
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