研究課題
前年度までの解析により、デュアル抵抗性(R)蛋白質を構成するRPS4とRRS1が相互作用することが明らかとなり、両蛋白質が協調して病原体を認識し、抵抗反応を誘導することが示唆された。そこで、更なる機能解明に向けて、以下の解析を行った。①R蛋白質RRS1への部位特異的変異の導入によるRRS1の機能解明: RRS1のP-loopモチーフ(GxxxxGKT)の解析を進めた結果、後半のアミノ酸配列GKTを個別にAに置換した場合は抵抗性誘導に影響がなく、GxT、GK、GKTの2アミノ酸以上の変異により、抵抗性誘導能の喪失が認められた。一方、RPS4のP-loopモチーフでは1アミノ酸置換のみで抵抗性誘導能を喪失した。さらに、RRS1のロイシンジッパー(LZ)モチーフの欠損による恒常的な抵抗反応の発現は、RRS1のP-loopモチーフへの変異導入によりキャンセルされることが明らかとなった。以上により、RRS1のP-loopモチーフは抵抗性誘導に深く寄与する。②生化学的手法によるデュアル抵抗性蛋白質と相互作用する因子の検索:ベンサミアーナタバコを用いてウイルスベクターによりEDS1をサイレンシングした結果、RRS1のLZ変異による恒常的な抵抗反応の誘導が抑制された。これより、EDS1がデュアルR蛋白質システムにおける抵抗反応の起動に関わっていることが明らかとなった。③サプレッサー変異体の解析:アブラナ科炭疽病菌に感受性を示す変異体(rrs1-1)へ変異を再導入し、抵抗反応が復帰したサプレッサー変異体の取得については、引き続き探索を行ったが、新たな変異体を取得できなかった。④病害抵抗性作物の分子育種の基盤技術の構築:デュアルR蛋白質を導入した耐病性コマツナは、T3世代においてもアブラナ科野菜類炭疽病菌に対して、耐性を示した。また、デュアルR蛋白質と相互作用し、デュアルR蛋白質システムを安定化する因子を植物に導入するため、新たなベクターコンストラクトの作製を行った。
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Scientifc Reports
巻: 11 ページ: 18702
10.1038/srep18702
PLoS One
巻: 10 ページ: e0123227
10.1371/journal.pone.0123227
巻: 10 ページ: e0139127
10.1371/journal.pone.0139127