研究課題/領域番号 |
25460005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小暮 紀行 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80396689)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルカロイド / リコポジウム / 不斉全合成 / 単離・構造決定 |
研究概要 |
1)不斉Diels-Alder反応を鍵反応としたLycoposerramine-Rの不斉全合成。 新規アルカロイドLycoposerramine-Rのラセミ体での全合成を不斉全合成へ展開すべく、Diels-Alder反応の不斉化を検討した。反応溶媒、不斉補助基、添加剤、反応温度など詳細な検討を行なったが、最高でも収率53%、80%eeという結果に終わった。また再現性にも問題があったため、合成経路の再検討を行うこととした。 すなわち、出発原料として安価で購入可能な光学活性化合物(R)-Pulegoneを用い、不斉全合成を試みることとした。これまでにラセミ体で確立した全合成ルートにおける中間体を光学活性体として得ることに成功している。今後は、ラセミ体での全合成において低収率であったピリドン環の構築について収率の改善を検討し、Lycoposerramine-Rの不斉全合成を達成する予定である。 2)代表的リコポジウムアルカロイドLycodineの生合成模擬的合成。 Evansの不斉補助基を用いた細見-桜井アリル化により導入した不斉炭素を有する、Lycodineの全炭素(16炭素)を有する直鎖化合物から、生合成模擬的連続環化反応の検討を行なった。酸、反応溶媒等の検討を行なった結果、CSA(カンファースルホン酸)を用いたところ、望みの連続環化反応が進行し、収率61%(立体選択性3.1:1)で目的の4環性化合物を与えた。環化体の立体化学については、誘導体化したのち結晶化し、X線結晶解析により決定した。望みの立体化学を有する4環性化合物より、ピリジン環を構築することによりLycodineの短段階不斉全合成を達成した。さらに、共通の4環性化合物中間体よりFlabellidineの初の全合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)不斉Diels-Alder反応を鍵反応としたLycoposerramine-Rの不斉全合成については当初の計画より多少進度が遅れているものの、光学活性体においてラセミ体における全合成ルートへ合流することができたことから、26年度に不斉全合成を達成することは確実と言える。 2)代表的リコポジウムアルカロイドLycodineの生合成模擬的合成については当初の計画以上に進展しており、Lycodineの短段階不斉全合成だけでなく、同様の骨格を有するアルカロイド、Flabellidineの初の全合成にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでおおむね順調に進展しているので、今後も当初の計画通りに研究を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入を予定していたパーソナル有機合成装置(ゾディアック)について、他社の装置や新しい装置との比較検討を行った結果、購入を見合わせたため。 26年度は合成計画通りの研究の遂行に向け、試薬、溶媒、備品等の大量購入が必要となると予想される。
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