研究課題/領域番号 |
25460005
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小暮 紀行 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80396689)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルカロイド / リコポジウム / 不斉全合成 / 単離・構造決定 |
研究実績の概要 |
1)不斉Diels-Alder反応を鍵反応としたLycoposerramine-Rの不斉全合成:昨年度に確立した合成ルートにより、不斉全合成を達成した。 3)AChE阻害作用を有する植物性リコポジウムアルカロイドの徹底的追求:タイ産Lycopodium属植物 (L. nummularifolium, L. dalhousianum, L. carinata) について含有アルカロイドを精査を行っている。これまでにL. nummularifoliumからは新規アルカロイド7種を含む15種のリコポジウムアルカロイドを単離・構造決定した。L. dalhousianumにはリコポジウムアルカロイドの含有は確認できなかった。現在、L. carinataについて含有成分を精査中である。今後、薬理活性試験を行い、構造活性相関の検討を行う予定である。 4)Huperzine-Hの全合成による立体化学の解明:Huperzine-H は、ピロール環と隣接した9員環と6員環の3環性骨格を有しており、これまでにない新規骨格をもつ平面構造が提出されている。しかし、7位、12位、15位の立体化学は全く解明されていないため、その立体化学の決定および活性評価を目的として、Huperzine-Hの全合成を計画した。 メチルシクロヘキセノンに対し、ピロールユニットを立体選択的1,4-付加反応により縮合した。その後、12位にアリル基を導入し、Ring-Closing-Metathesisによる9員環の構築を検討したが目的物は得られなかった。さらに光延反応による9員環の構築も検討したが、目的の環化体は得られなかった。そこで、最後にピロール環を構築する合成ルートに変更し、Ring-Closing-Metathesisにより12員環の構築に成功した。今後、ピロール環を構築してHuperzine-Hの全合成を達成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)当初は25年度に達成する予定であったLycoposerramine-Rの不斉全合成について、今年度無事達成することができた。 2)26年度に達成予定であったHuperzine-Hの全合成はできなかったが、27年度には達成できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているので、当初の計画通りに研究を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初マグネチックスターラー付低温恒温水槽 東京理化 PSL-2000の購入を予定していたが、当研究室所有の装置で代用することができたため、購入の必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は研究計画の通り全合成を達成するべく試薬・溶媒・備品等の大量購入が予想される。
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