研究概要 |
アミド結合はタンパク質や糖、医薬品、農薬、精密材料に至るまで、多くの場面でその存在と使用が認められており、高分子構築からアミド結合を介した修飾、保護など、その役割は多岐にわたる。そのため、アミンとカルボン酸を原料に用いたアミドの脱水縮合反応は多く開発されている。それに対して、アミドをアミンとカルボン酸に加水分解する方法は、その安定性から一般的に過酷な条件(例:1.2 M HCl, reflux, 9 h)を必要とする。それゆえ、複雑な構造を有する化合物のアミド結合の加水分解は困難である。そのため、温和な条件下で進行するアミド切断反応の開発が望まれている。我々は、最近開発した新規トリアジン型ベンジル化剤DPT-BMを用いることで、温和にアミド結合を切断できることを見出した。本年度は、まずその反応条件の最適化を行なった。溶媒や、濃度、反応温度、反応時間、共存させる添加物、反応剤の当量などの反応条件を精査することで、高収率でアミド結合を切断する条件を見出した。また、この切断反応の基質一般性を調べた。一級、二級、三級アミドは、窒素原子に結合した水素の有無や、窒素上の置換基の種類により、その反応性が大きく異なる。これら種々のアミドに対して、最適化した条件を用いて、アミド切断反応を行ったところ、これらの反応性の違いにより、収率や中間体の安定性が大きく異なることが明らかにした。これらの成果に関して現在論文執筆中である。
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