研究課題/領域番号 |
25460015
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐々木 道子 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 准教授 (30379888)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 有機合成 / 1,4-双極子 / 三員環化合物 / 開環反応 |
研究概要 |
1,4-双極子前駆体として,イミニウムもしくはホスホニウムを有する三員環化合物の合成は,単離精製が困難であるため,詳細に条件を検討中である.そこで,まず,合成が比較的容易なホスホネートおよびホスフィノイル基を有する基質について,目的の三員環開裂反応がおこるかどうか,また三員環上の置換基がそれに与える影響を検討することにした.三員環上にフェニル基とニトロ基を有するdiethyl ((2-nitro-3-phenylcyclopropyl)methyl)phosphonateを合成し,LDAで処理したところ,目的の環開裂反応が起こった成績体と共に,ニトロ基のα位が脱プロトン化されて開環がおこった基質も生成した.これは生成したアニオンがフェニル基によって安定化されるためであると考え,フェニル基の存在しない基質を合成し反応に付したところ,目的の化合物のみが得られたが,化学収率は20%以下であった.ニトロ基をエステル基に変換した基質を用いたところ,収率が54%にまで向上した.三員環の開環がおこることが分かったので,生成したアニオンを捕捉するために系内にN- methylmaleimideを加えたところ,分解し,少量の原料を回収したのみであった.小過剰の塩基が重合化を促進している可能性があるので,塩基の当量数と共に濃度,温度などの検討を行っている.その他,ニトロ基の代わりにシアノ基,スルホニル基を有する基質の合成にも成功しているので,網羅的に検討を行っている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々の置換基を有する三員環化合物合成の方法論の開発に成功し,塩基によって処理することで目的の開環反応が起こることを確認できたため,一定の成果をあげることができたと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
合成した三員環化合物と塩基,捕捉剤との反応を体系的に検討し,新規環化反応につなげるとともに,そこで得られた知見をもとに,イミニウムもしくはホスホニウムを有する基質から1,4-双極子化学種を発生させることを目的に検討を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品購入の都合上,少額の繰り越し金が生じた. 消耗品購入にあてる.
|