研究課題/領域番号 |
25460017
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
高橋 圭介 東邦大学, 薬学部, 准教授 (60380854)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | チランダマイシン / 全合成 |
研究実績の概要 |
2011年、ShenらによってStreptomyces sp. 17944より一連のチランダマイシン類天然物が単離された(Org. Lett. 2011, 13, 2034.)。チランダマイシン A, チランダマイシン B等一部のチランダマイシン 類は既知化合物であったが、改めて詳細な生物学的検討がなされ、特にチランダマイシン Bが強力な抗フィラリア線虫活性を有する事が明らかにされた。リンパ管フィラリアは何世紀にもわたって治療、予防ができない「顧みられない病気 (Neglected Disease)」となっており、新たな新薬の開発が求められている。今回、有機合成化学からのリンパ性フィラリア制圧への貢献を目指して、チランダマイシンBの全合成研究を行った。 本年度は、まず、フルフラール誘導体の還元的アルドール反応、若しくは立体選択的クロチル化によって連続不斉中心の足がかりを構築する方法を試みたが、何れの反応も満足のいく結果が得られなかった。そこで合成戦略を再検討し、(S)-3-(((4-methoxybenzyl)oxy)methoxy)-2-methylpropanalを基質として、Marshallらのアレニル亜鉛種を用いる方法によって、4連続不斉中心のうちの3不斉中心を構築することが出来た。続いてリンドラー還元、PMB基の除去、酸化、リチオフランとのカップリングを行った。現在カップリング体の立体配置の確認を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、還元的アルドール反応、不斉クロチル化に基づく経路は実現しなかったものの、Marshallらのアレニル亜鉛種を用いて不斉中心を構築する方法を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
Marshallらのアレニル亜鉛種を用いて不斉中心を構築する方法を確立できたので、今後は、リチオフランとのカップリング、クロスメタセシス反応等を経て、宮下らの既知中間体へと導く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者は当該年度に所属機関を異動した。異動に当たって主に、学会出席の計画に大幅な変更が生じ、旅費支出が少なくなったことが次年度使用額が生じた主な理由である。又、購入を予定していた試薬の一部を別の研究資金で購入したことも未使用額が生じてしまった理由の1つである。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額が生じたものの、研究の進行自体にはさほど影響は出ていない。これらは試薬、硝子器具の購入に充てる計画である。
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