我が国を含む先進国ではさほど問題とはならないものの、発展途上国などにおいて深刻な公衆衛生上の問題である「顧みられない病気」の代表的なものの中に、微小な線虫によって引き起こされるリンパ性フィラリア症がある。本研究においては、最近、有効な殺フィラリア線虫活性を有する事が明らかにされたチランダマイシンBの全合成研究を行った。その結果、Marshallらのキラルアレニル亜鉛種のアルデヒドへの付加、リチオフランのカップリング、Achmatowicz反応を経るビシクロ環構築、Wittg反応を経て既知中間体へと到達し、チランダマイシンBの形式合成を達成した。
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