2001年に北里研究所の大村らによって発見された多剤耐性菌にも有効な抗菌性物質FO-7711CD6について、その化学構造の確定を目的とした合成研究を実施した。まず、本化合物と同一の平面構造をもつ抗腫瘍性物質GKK1032A2の全合成について検討した結果、最難関である13員環構造の構築を高収率で達成しうる新たな方法の開発に成功した。ここで得られた13員環化体を標的化合物に誘導する方法についても、小スケールの検討を通じて確立することができたので、近い将来にGKK1032A2およびその3種類の立体異性体の全合成を達成することを通じて、FO-7711CD6の真の化学構造を確定できるものと考えている。
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