研究課題/領域番号 |
25460026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
氷川 英正 東邦大学, 薬学部, 講師 (20550619)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パラジウム / 水 / ベンジルアルコール / スルホンアミド / ベンジル化 / 炭素-水素結合活性化 |
研究概要 |
スルホンアミド(1)、酢酸パラジウム (5 mol %)、水溶性ホスフィンリガンドTPPMS(10 mol %)、及びベンジルアルコール(2:5当量)を水中で120 ℃、16時間加熱したところ、環化体(3: 61%)及びジベンジル体(4: 27%)を与えた。また、この反応の開始1時間後には、モノ-N-ベンジル体が観測された。以上のことから、本反応は(η3-ベンジル)パラジウムによる原料(1)へのN-ベンジル化、続いてベンジル位へのパラデーションによりビス-ベンジルPd錯体を形成した後、スルホンアミドが求核剤として反応することにより、環化体(3)を与えたと考えられる。すなわち、水の特性を用いることで、反応性の低いベンジルアルコール(2)とPd(0)から形成することができる(η3-ベンジル)パラジウム錯体(1)の新しい反応性を見出し、これまでにない効率的な分子変換(ベンジル化/炭素-水素結合活性化連続反応)の1つを開発することができた。 今回の発見は、様々な複素環合成を実現する上で重要な一歩であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水の特性を用いることで、反応性の低いベンジルアルコール(2)とPd(0)から形成することができる(η3-ベンジル)パラジウム錯体(1)の新しい反応性を見出し、効率的な分子変換(ベンジル化/炭素-水素結合活性化連続反応)を用いた環状スルホンアミド誘導体の合成法を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(η3-ベンジル)パラジウム錯体(1)と様々な求核剤の反応を行い、本反応の適応拡大を調査する。現在、求核剤としてチオール類を用いた場合、一般的には触媒毒となるために反応は進行しないが、水中ではホスフィン配位子なしでも(η3-ベンジル)パラジウム錯体(1)を経由したベンジルアルコールを用いたベンジル化反応が進行することを見出している。これまでにない効率的な分子変換、新しい反応性を見出す。
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