研究課題
基盤研究(C)
平成25年度は、チューブ構造を形成する超分子複合体のうち2種類(①有機ナノチューブ(ONT)、②シクロデキストリンーポリシュードロタキサン(CD-PPRX))について薬物封入を行った。また得られた複合体からの薬物溶出性を評価した。①有機溶媒を用いた溶媒留去法により、有機ナノチューブ(ONT)へ各種難水溶性薬物の封入を検討した。ここでは、ONTの構造が安定に保たれる有機溶媒のスクリーニング検討を行ったのち、ONTへの薬物封入及びそれからの薬物溶解性を検討した。アセトンを用いた溶媒留去により、難水溶性薬物であるヒドロコルチゾン及びフェニトインをONTへ封入することに成功した。またONTに封入された薬物は、高い溶解特性を示した。これまでに「難水溶性薬物のONT封入」に関する報告は皆無であり、本研究で得られた知見は今後のONTの製剤学的応用に有用な指針となると期待される。②11種類の薬物を用いて、CD-PPRXとの複合体形成をスクリーニング検討した。粉末X線回折測定、溶液・固体NMR測定の結果、薬物とCD-PPRXとの複合体は、ゲストの分子サイズ依存で量論比的に形成されることが明らかとなった。また、CD-PPRXに封入された難水溶性薬物(ナプロキセン)の溶解特性が、有意に改善されることが示された。本研究は、CD-PPRXの製剤担体としての有用性を示すものであり、CD-PPRXの医薬品分野への応用性を拡大する指針になるものである。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度に実施予定であった、「チューブ構造を形成する超分子複合体調製及びそのためのスクリーニング検討」を計画通り行った。さらに、スクリーニング検討の結果から選択した2種類の超分子複合体の系については、薬物封入及びそれからの薬物溶解性まで検討することが出来た。
平成26年度は平成25年度で検討した、チューブ構造を形成する超分子複合体のうち2種類①有機ナノチューブ(ONT)、②シクロデキストリンーポリシュードロタキサン(CD-PPRX))について、さらに詳しい検討を行う予定である。具体的には、①超分子複合体の組成検討による薬物放出性制御、②固体NMR測定による超分子複合体中の薬物の分子状態の評価、を予定している。
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Int. J. Pharm.
巻: 469 (1) ページ: 190-196
10.1016/j.ijpharm.2014.04.005
http://www.p.chiba-u.ac.jp/lab/seizai/