研究課題
平成26年度は、平成25年度で検討したチューブ構造を形成する超分子複合体のうち2種類①有機ナノチューブ(ONT),②シクロデキストリンーポリシュードロタキサン(CD-PPRX)についてさらに詳しい検討を行った。①細孔径が同じで内側及び外側表面の官能基が異なる2種類のONT-1及びONT-2へイブプロフェン(IBU)を封入し、各ONTからのIBUの溶出性を評価した。各種物性測定の結果、ONT-2はONT-1と比較して約20%多くのIBUを細孔内に封入可能と考えられた。溶出試験の結果、ONT-1とONT-2からのIBUの溶出は有意に異なることが示された。ここで認められた薬物封入量及び溶出性の相違は、有機ナノチューブ内側表面の官能基とIBUとの相互作用の違いに由来すると推察された。本研究で見出した知見は今後のONTの製剤学的応用に有用な指針となると期待される。②モデル薬物としてサリチル酸(SA)を用い、3種類のSA/(PEG/γ-CD-PPRX)複合体多形を調製した。そして、複合体多形の結晶構造及びSA分子状態の違いが複合体からのSAの溶解特性に及ぼす影響について評価した。その結果、複合体多形中のSA溶出速度及びSA運動性及び配向秩序の相関性を明らかにした。本複合体の多形調製により薬物溶解特性の制御が可能となることが示され、本研究で得られた知見は薬物/(PEG/CD-PPRX)複合体の更なる製剤的応用に寄与すると期待される。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度に実施予定であった、チューブ構造を形成する超分子複合体の2種類について詳細な検討を行った。いずれも目標としていた、複合体の分子状態と溶解特性の関連性まで明らかにすることが出来た。
平成27年度は、新たに、チューブ構造を形成する超分子複合体の2種類について検討を行う予定である。具体的には、①PEG脂質誘導体とアスコルビン酸誘導体を組み合わせたナノチューブ、及び②2種類の薬物を含有した3成分CD複合体の分子状態評価及び溶解特性評価を行う。
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