研究課題/領域番号 |
25460032
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山本 恵司 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 名誉教授 (50110341)
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研究分担者 |
森部 久仁一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50266350)
東 顕二郎 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (40451760)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機ナノチューブ / シクロデキストリン / 超分子複合体 / 溶出速度 / 固体NMR / 分子間相互作用 / 非晶質 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、2種類のチューブ構造を有する超分子複合体(下記①及び②)について検討を行った。 ①イブプロフェン(IBU)封入有機ナノチューブ(ONT):平成25年度及び26年度に検討した2種類のIBU封入ONT(IBU/ONT-1及びIBU/ONT-2)について、各種固体NMR測定により詳細な分子状態評価を行った。その結果、IBUはONT空洞内のみならずONT同士で形成される空間にも封入されていることが明らかとなった。ONT空洞内に封入されたIBUはONT同士で封入されたIBUに比べて高い運動性を示した。ONT空洞内に対するONT同士で形成される空間に封入されたIBUの比率はIBU/ONT-1及びIBU/ONT-2でそれぞれ1:1 and 2:1であり、ONT同士で形成される空間にも多くのIBUが封入されていることが見出された。IBUとの相互作用の強さはONT-1とONT-2で異なっており、これがONT-1及びONT-2間でのIBUの封入量及び溶出速度の相違を与えていることが説明できた。 ②2種類の薬物を含有した3成分シクロデキストリン(CD)複合体:CD空洞内及びCD同士で形成される空間に異なる2種類の薬物を封入した3成分CD複合体の溶出性評価を行った。各種スクリーニング検討により、CD空洞内及びCD同士の薬物を変化させた数種類の3成分CD複合体の調製に成功した。溶出試験の結果、3成分CD複合体からの溶出速度は、CD包接化合物及びCD同士で形成される空間に封入された薬物の溶解度に依存して変化することが明らかとなった。 平成25~27年度に行った検討より、様々なチューブ構造に封入された薬物の分子状態と溶解特性の関連性を明らかとすることができた。本研究で得られた知見はより高品質の薬物封入担体の設計に向けた有用な知見になると期待される。
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