研究課題
昨年度までに、rHDLの脂質二重膜に再構成したb2アドレナリン受容体が、Gタンパク質活性化能を保持していること、GRK2によるリン酸化を受けること、および被リン酸化残基数がリガンドにより異なることを確認していた。さらに、昆虫細胞発現系において重水素化とメチオニン残基のメチル基の選択標識を両方施す手法を開発した上で、rHDLの脂質二重膜に再構成したb2アドレナリン受容体のNMRスペクトルを取得して、活性型の割合および不活性型と活性型の交換速度がミセル中とは異なることを示していた (Kofuku et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2014)。2015年度は、重水素化とメチオニン残基メチル基の選択標識を両方施したb2アドレナリン受容体を調製して、完全アゴニストおよびアレスチンシグナルを選択的に活性化することが報告されているリガンドが結合した状態におけるNMRスペクトルを測定した。その結果、アレスチンシグナルを選択的に活性化するリガンドが結合した状態において、M82およびM211の化学シフトが、通常のリガンドが結合した時とは有意に異なっており、化学シフトとシグナル選択性が相関していた。以上の結果から、b2アドレナリン受容体が複数の活性型の平衡状態にあり、カルベジロール結合時にはアレスチンシグナルをより強く活性化するコンフォメーションの割合が高くなることが示唆された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Proc. Natl. Acad. Sci.
巻: 発行中 ページ: 発行中
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