本研究では、潰瘍性大腸炎において産生する一酸化窒素(NO)が大腸粘膜の炎症に関与する機序について、磁気共鳴法を用いて解析した。大腸炎を誘発するデキストラン硫酸ナトリウムをマウスに飲水させると、①大腸組織内に浸潤してきたマクロファージから産生したNOがSTAT3の活性化を介してCD14の発現を誘導することでTLR4-NF-kB経路を活性化すること、②NF-kBの活性化によりIL-6濃度が上昇し、更なるSTAT3の活性化を惹起すること、③同じくNF-kBの活性化により接着分子の発現が上昇し、好中球の大腸粘膜内への浸潤が起こり、好中球から活性酸素が産生し、大腸粘膜傷害を惹起することが示唆された。
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