研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、小分子RNAのがん医療への応用展開に寄与することを目的とし、画期的な核酸デリバリーシステムを利用したSynthetic lethality(合成致死)誘導による選択的抗腫瘍効果について研究を行う。今回、合成致死遺伝子の組合せとしては、共にDNA修復に関与するとされるPTENとPARP1に着目した。本年度は、PTEN欠損がん細胞を用いて、PARP1を標的としたsiRNA(siPARP1)の合成致死誘導能について検討を行った。siRNAベクターとして申請者らが開発したDCP-TEPA liposomesを用い、PTEN欠損のMDA-MB-468ヒト乳がん細胞、対照としてPTEN陽性のMDA-MB-231ヒト乳がん細胞においてPARP1遺伝子をノックダウンした。siPARP1導入による遺伝子サイレンシングは、リアルタイムRT-PCR法及びWestern blotting法によって確認した。次に、PARP1ノックダウンのDNA損傷に与える影響をComet assayにより、またアポトーシス誘導能をフローサイトメトリー解析により評価した。その結果、PTEN陽性のMDA-MB-231細胞と比較して、PTEN欠損のMDA-MB-468細胞では、顕著な断片化DNAの増加とアポトーシス細胞の増加が観察された。さらに、WST-8 assayによって抗がん効果を試験したところ、MDA-MB-468細胞においてのみPARP1ノックダウンによる殺細胞効果が認められた。以上の結果より、PARP1ノックダウンはPTEN欠損細胞においてDNA修復機構の破綻を介した合成致死を引き起こすことが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
全体としては申請書に記載した年次計画に沿って研究が進行しているため。
当初の計画に沿って研究を推進する予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/radiobio/mbc/Home.html