研究課題
本研究では、合成致死性に基づくsiRNA医薬品の開発を目的とし、合成致死遺伝子としてphosphatase and tensin homolog deleted from chromosome 10(PTEN)とpoly [ADP-ribose] polymerase 1(PARP1)の組み合わせに着目した。両者はともにDNA修復に関与するとされ、PTENは約半数のがんで欠損が認められている。そこで、PTEN欠損がん細胞を用い、PARP1を標的としたsiRNA(siPARP1)の合成致死誘導能を検討した。siRNAのベクターには、我々が開発したdicetyl phosphate-tetraethylenepentamine-based polycation liposomes(TEPA-PCL)を用いた。各種培養細胞に対しsiPARP1を導入したところ、正常細胞およびPTEN陽性がん細胞と比較し、PTEN欠損がん細胞においてDNA損傷とアポトーシス細胞の有意な増加が認められた。siPARP1は、PTEN欠損がん細胞に対して選択的な抗がん効果を示し、その効果はPARP1の低分子阻害剤であるOlaparibと比較して有意に高かった。さらに、PTEN陽性がん細胞のPTENとPARP1の双方をノックダウンしたところ、PARP1単独ノックダウン時には認められなかった増殖抑制効果が観察された。以上より、PTEN欠損がん細胞にsiPARP1を導入することにより、DNA修復機構の破綻に起因する合成致死を効果的に誘導できることが示唆された。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Int. J. Pharm.
巻: 506 ページ: 129-137
10.1016/j.ijpharm.2016.04.046.
J Drug Target
巻: - ページ: 1-29
J. Control. Release
巻: 228 ページ: 1-8
10.1016/j.jconrel.2016.01.032.
J. Clin. Med.
巻: 5 ページ: 10
10.3390/jcm5010010
Eur J Pharm Biopharm.
巻: 97 ページ: 1-7
10.1016/j.ejpb.2015.09.020.
Nanomedicine
巻: 11 ページ: 185-194
10.1016/j.nano.2014.09.003.
http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/radiobio/mbc/Home.html