研究課題/領域番号 |
25460051
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
松永 久美 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (70271418)
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研究分担者 |
萩中 淳 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (20164759)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抗腫瘍活性物質 / ハイスループットスクリーニング / 熱ショックタンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、標的タンパク質(レセプター、酵素など)を固定化したアフィニティー基材を調製し、アフィニティー基材と高分離能カラムを組み合わせることにより、化合物ライブラリー、漢方薬などの植物由来の天然物および生物由来の天然物中より微量の抗腫瘍活性物質をハイスループットスクリーニングし質量分析法を用いることにより、オンラインで微量の抗腫瘍活性物質の構造情報を得ることである。熱ショックタンパク質(Hsp90)を N-末端を介してアミノプロピルシリル化(APS)シリカゲルに固定化する方法として、APSシリカゲルをピリジン緩衝液(pH 6.0)中、グルタルアルデヒドで活性化し、Hsp90を含む溶液と振盪し、N-末端を介して固定化した。一方、Hsp90をC-末端を介してAPSシリカゲルに固定化する方法として、Hsp90 を10 mM リン酸塩緩衝液(pH 5.5)中で、1-ethyl-3-(3-methylaminopropyl)carbodiimide および N-hydroxysulfosuccinimideと反応後、APSシリカゲルと4℃で 24時間反応させることにより、C-末端を介してAPSシリカゲルに固定化した。得られたそれぞれの Hsp90 固定化APSシリカゲルを内径 2 mm 、長さ 50 mm のカラムに充填し、Hsp90 (+)カラムを作成した。また、ヒドロキシルアミンを用いて、Hsp90(-)カラムも同様に調製した。Hsp90カラムとコントロールカラムから溶出した成分を、さらに高性能分離を行い得られたクロマトグラムの差クロマトグラムから、抗腫瘍活性物質を探索する。グリチルリチン酸、シコニン、マグノロールなど標準生薬を用いて、Hsp90阻害剤のスクリーニングに適用した。今後、更にいくつかの標準生薬でシステム化を行い、実際に種々の微量の活性物質の探索研究に適用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Hsp90 を N-末端あるいは C-末端を介してAPSシリカゲルに固定化した Hsp90(+) および Hsp90(-) カラムを調製することが可能となった。得られた Hsp90 を固定化したアフィニティー基材を、フロンタルクロマトグラフィーシステムにより評価するが、実際にアフィニティー基材と高分離能カラムとしての逆相系粒子充填型カラムの組み合わせの検討ができていない。そこで今回、標的タンパク質を固定化したアフィニティー基材を用い、高分離能カラムとの組み合わせを検討していたため、遅れの原因になった。
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今後の研究の推進方策 |
Hsp90 を固定化したアフィニティー基材と高分離能カラムの組み合わせを用い、化合物ライブラリーならびに植物由来の天然物、生物由来の天然物の抽出液中の抗腫瘍活性物質のハイスループットスクリーニングを行う。Hsp90(+) および Hsp90(-)カラムおよび逆相系充填カラムを連結した系に、化合物ライブラリーあるいは生薬の抽出液を負荷する。Hsp90(+) カラムにアフィニティーを持つ成分はトラップされるため、Hsp90 (+)およびHsp90(-) カラムを用いて得られたクロマトグラムを比較することにより、抗腫瘍活性物質をハイスループットスクリーニングすることが可能になる。さらに検出法として質量分析法を用いることにより、未分離の微量の抗腫瘍活性物質の探索も可能となる。また、天然物中に大量に存在する化合物の妨害は、それらに対する分子インプリントポリマーを調製することにより、除去することも検討する。
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