研究実績の概要 |
本年度は、キレート剤diethylenetriamine-N,N,N',N",N"-pentaacetic acid (DTPA)を介してGdをデキストランに結合させる最適条件を確立し、合成した造影剤の血管内滞留性をMRIで確認した。 デキストラン(平均分子量4万)に対するDTPA無水物と触媒として用いるN,N-dimethyl-4-aminopyridineの比率を変えてデキストランに対するGdの結合率を調べた。デキストランへのGd結合率は、グルコース単位当たり0.5以上にすると沈殿したことより、最大結合率を0.5とした。 結合率(Gd/グルコース単位)が0.5のGd結合デキストランを健常マウスに静脈内投与し、頭部においてMRI画像(T1強調画像)を1.5 T MRI装置により勾配エコー法で撮ったところ、血管を描画することができた。血管の描画は投与後少なくとも1時間は可能であった。一方、同じGd相当量の市販のマグネビスト(Gd-DTPA)では血管を描画することができなかった。これは、合成したGd結合デキストランが正常組織では血管から漏れることが無いことを意味し、造影剤をがんのような血管透過性が亢進している組織のみへ送達できる可能性を示唆する。
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