研究課題
昨年度、デキストラン結合Gd(Gd-Dex)を、腫瘍(S180)を背部皮下に移植したマウスに静脈内投与したところ、腫瘍の特に辺縁部の幅数mmに蓄積することがわかった。これは、この造影剤に光増感剤を結合した場合、大きな腫瘍になるほど体積当たりの蓄積量が減少し、腫瘍殺傷効果が衰えることを意味する。そこで、大きさの異なる腫瘍を用いて、腫瘍の体積と造影剤蓄積量との関係を1.5 T 実験動物用MRI装置を用いて調べた。腫瘍の体積はT2強調グラジェントエコー法にてマルチスライス画像を撮像し、画像の腫瘍部の面積とスライス厚の積の総和から求めた。また、T1強調グラジェントエコー法によるマルチスライス画像の腫瘍部分の輝度を、同時に測定した0.5 mmol/L塩化ガドリニウム水溶液の輝度を用いて濃度に換算し、高輝度部分の体積を用いてGdの蓄積量(nmol)を求めた。比較的小さい腫瘍(<1000 mm3)では投与約20分後までに蓄積がほぼ完了し、蓄積量と腫瘍体積との間に相関が見られた。一方、比較的大きな腫瘍(>2000 mm3)では分布が完了するまでに約60分を要し、投与60分後では全ての大きさの腫瘍で、Gd蓄積量と腫瘍体積との間に相関が見られるようになった。以上のように、大きな腫瘍でも時間をかければ小さな腫瘍と同程度の体積当たりの蓄積量を得ることができることがわかった。Gd-Dexへの光増感剤の結合を検討するため、デキストランにβ-アラニンの結合でアミノ基を導入し、N-ヒドロコハク酸イミド化した光増感剤クロリンe6を結合させる方法を検討した。カルボジイミドの存在下でデキストランへのFMOC-β-アラニンの結合を試みたが、グルコース当たりのβ-アラニン結合量が0.02以下と低く、結合法を再検討する必要があることがわかった。
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