研究課題
糖鎖の生体分子としての特徴の一つは分岐構造を有することであり、分岐構造と活性の相関を得ることは大きな課題である。本研究では分岐構造を有する糖鎖の立体構造・ダイナミクス・レクチンとの相互作用を明らかにして、その機能に果たす役割を解明することを目的とした。平成28年度は以下のことを明らかにした。1.C型レクチン様受容体の大量発現:Dectin-1は直鎖型および分岐型のβグルカンを認識するC型レクチン受容体であるが、その構造活性相関の研究はDectin-1のレクチンドメインの大量発現の困難さにより妨げられてきた。そこでDectin-1レクチンドメインのN末端側にprotein GのB1ドメインを融合させたところ、溶解度が14倍に上昇し、発現量も5倍に上昇した。GB1の融合したDectin-1は直鎖型および分岐型βグルカンとの相互作用解析に有効であることが判明した。現在この発現系を用いてNMR解析を実施中である。2.気相電気泳動法による分岐型糖鎖の解析:気相電気泳動法により得られた衝突断面積から糖鎖の立体構造を議論するためには、計算化学により糖鎖の立体構造を計算してそこから衝突断面積を計算し、実験値と比較することが重要となる。本研究では計算により衝突断面積を算出する方法を検討し、衝突断面積に影響を与える因子(バッファガスの種類、プロトンの付加部位、衝突散乱のモデルの種類)について精査した。また気相電気泳動法から得られるドリフトタイムから衝突断面積へ変換する際に用いる標準サンプルの検量線についても検討を実施した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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