研究課題/領域番号 |
25460055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三重 安弘 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (00415746)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | P450 / ミクロソーム / 薬物代謝 |
研究概要 |
シトクロムP450(CYP)等の薬物代謝酵素を含有するミクロソームを用いて、薬物の代謝率を計測することは、医薬品開発や薬物投与設計において極めて重要てある。申請者は、最近CYP発現ミクロソームの薬物代謝反応が特定の修飾電極上で安定に進行する現象を見出し、電気化学検出法による低コストな新規アッセイ法の可能性を示した。本研究では、この現象の詳細な解明と同手法を活用した薬物代謝マルチアッセイシステムを開発する。これにより、高効率なアッセイが実現され、医薬品開発研究の推進に寄与できると考えられる。 本年度(初年度)は、特定の修飾電極上での、電気化学CYP反応の安定化現象を解明するために、有機分子やDNAなどの生体高分子等様々な分子をコーティング(修飾)剤として用い、各修飾電極の界面特性や酵素固定特性等と電気化学酵素反応特性とを比較しながら、CYP活性安定化現象に対するコーティング剤の役割を調査した。芳香族環に親水性を有する官能基を付与したコーティング剤を用いることで安定性が向上したことから、親水的な修飾電極界面が安定性に寄与することが示唆された。更に、酵素活性が安定に発現される親水的な界面と酵素活性の失活が早い疎水的界面を比較すると、後者においては、溶存酸素に由来する活性酸素種が比較的安定に存在することが示され、同活性種が酵素失活の要因であると推察できた。また、電極―酵素間の電子移動速度は、アミノ基を有する芳香族分子を用いた場合に他の官能基と比べて大きく、同官能基と酵素分子との相互作用が重要であることが示唆された。 以上より、薬物代謝酵素反応を電極上で安定に進行させるための電極界面構造基盤を構築できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ほぼ計画通りに研究を実施することができ、次年度の研究計画を進めるうえで有用な知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(初年度)に見いだした電極界面を基盤として、電極上での酵素反応の進行に更に有用な界面コーティング剤の検討を行うとともに、精製された酵素試料を用いた詳細な解析を行う。また、電極上での薬物代謝反応の解析も実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
電極界面構造の工夫により、当初の予定より高感度に検討を実施することができ、少量の酵素試料(ミクロソーム体)等で研究を進めることができたため。 今年度(初年度)のこれまでの成果から、来年度においてより詳細な検討のために単離精製された酵素試料を発現・調製する必要が生じ、そのための予算に充てる。
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