研究課題
乳がんは骨に転移しやすく、転移巣では激しい骨破壊が起こる。乳がん細胞(4T1)をマウスに移入し、ルシフェラーゼ遺伝子導入による発光イメージングを行ない、転移巣の全身イメージング検出系を確立し、乳がんの転移におけるPGEの役割を解析し、EP受容体阻害剤の作用を検討した。(1)膜型PGE合成酵素遺伝子欠損マウスを用いた解析: 4T1細胞をmPGES遺伝子欠損マウスならびに野生型マウスに移入すると、mPGES欠損マウスでは骨転移や皮下固形腫瘍の形成が抑制された。骨転移巣では骨破壊に先立って、In vivo発光が検出された。(2)乳がん骨転移へのEPsアンタゴニスト投与効果:4T1細胞の骨転移巣について、軟X線解析および3次元μCTにより高精度の解析を実施し、大腿骨や頸骨に激しい骨破壊を観察した。EP1アンタゴニスト・EP2アンタゴニスト・EP3アンタゴニスト・EP4アンタゴニスト投与実験を実施した結果、EP4アンタゴニスト投与により、骨転移と腫瘍形成が顕著に抑制されることを見出した。(3)In vitroメカニズム解析:乳がん細胞の浸潤・骨RANKL発現・血管新生について解析した。骨RANKL発現と血管新生は、EP4アンタゴニストにより顕著に抑制された。EP4を介したRANKL発現誘導による骨吸収亢進が関与すること、EP4シグナルを阻害することにより骨転移と骨破壊を阻止できることを明らかにした。(4)乳がんと前立腺がんの比較:マウス前立腺がん細胞(TRAMP)の転移系をルシフェラーゼ遺伝子導入による発光イメージング系として確立し、乳がんと前立腺がんの骨転移を比較した。TRAMP細胞が骨転移を起こすと、骨破壊が誘導され、4T1の骨転移巣に類似し、EP4アンタゴニスト投与により骨転移と骨破壊が抑制されることを見出し、乳がんと前立腺がんの骨転移について類似性を明らかにした。
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