研究課題/領域番号 |
25460066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
篠原 康雄 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (60226157)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 外膜 / VDAC / CPT1 / 溶質輸送 |
研究概要 |
本研究ではミトコンドリア外膜の溶質輸送を担う電位依存性アニオンチャネル(voltage dependent anion channel, VDAC)とカルニチンパルミトイル転位酵素(carnitine palmitoyltransferase, CPT1)に焦点をあて、これらのタンパク質によるミトコンドリア外膜のトラフィックコントロールを理解するとともに、これを制御することによってミトコンドリア機能制御剤の創生に繋がるかどうかを検討することを目的とした研究を展開する予定である。 本年度はカルニチンパルミトイル転位酵素CPT1に焦点をあてた研究を展開した。CPT1には肝型(CPT1a)、筋型(CPT1b)、および脳型(CPT1c)の3種のアイソザイムがあることが知られている。1cについては酵素活性が無いのではないかとする論文が出されているが、本当に酵素分子そのものがinertなのか、あるいは単に十分発現させることができなかっただけなのか、明らかにされていない。そこで、まずこの点に焦点をあてた研究を行った。1a~1cアイソザイムに比較的保存されたアミノ酸配列を有するペプチドを用いて抗体を調製するとともに、大腸菌で個々のアイソザイムの標準タンパク質を調製し、調製した抗体の個々のアイソザイムとの反応性をcalibrateした。個々のタンパク質の発現レベルを定量的に評価し、個々のアイソザイムの特異活性を求めた。その結果、1cアイソザイムが本当にinertな分子であることを明らかにすることができた。更にキメラを用いた解析により、1cがinertであるのはそのC末領域のアミノ酸配列に問題があるためではないことを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともとの交付申請書では個々のCPT1アイソザイムの発現系を構築すること、ならびにCPT1に対する抗体を調製し、これを用いてCPT1の機能制御をめざすとの記載をしていた。 本年度は個々のCPT1アイソザイムの発現系を構築するとともに、抗体を調製すること、更に調製された抗体の各CPT1アイソザイムとの反応性を評価すること、に重きを置いた実験を進め、1cアイソザイムがinertな分子であることを初めて定量的に評価することに成功した。得られた知見は今後の研究を推進する上で重要な知見であり、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではCPT1に重点を置いた研究を展開したため、ミトコンドリア外膜のトラフィックコントロールを担うもう1つの重要なタンパク質であるVDACの研究には十分なエネルギーを割くことができなかった。H26年度以降はVDACの研究を展開し、目的達成に近付けたい。
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