血中ホモシステイン(Hcy)濃度の上昇は心血管病発症の危険因子として知られるが、その機序については未だ不明である。我々はHcyからシステインを生合成するトランススフレーション経路に必須の二酵素で、生体内硫化水素の産生酵素でもあるCBSとCTHのそれぞれの遺伝子欠損マウスの解析を通して、その全容解明を目指している。本研究課題では、ホモシステインの新規作用機序として、Hcyが生体内の硫化水素を直接トラップ(Hcyパースルフィド形成)し、その生理作用(細胞保護など)に拮抗する可能性を指示する実験結果が得られた。したがって、硫化水素シグナルの制御がホモシステイン病態改善に寄与する可能性が考えられる。
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