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2015 年度 実績報告書

遺伝子治療を目標としたCRAGの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 25460074
研究機関東京薬科大学

研究代表者

稲留 涼子  東京薬科大学, 生命科学部, 研究員 (90408691)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経変性疾患
研究実績の概要

脊髄小脳変性症は原因遺伝子の翻訳領域にあるポリグルタミンをコードするCAGリピートが患者において異常に伸長する疾患である。現在、脊髄小脳変性症の治療法は神経伝達物質の産生を促進することによる症状の緩和が主目的の対症療法であり、症状の原因を取り除く原因療法は確立されていない。私たちは以前、新規GTP結合タンパク質であるCRAGを同定し、CRAGが脊髄小脳変性症の原因タンパク質である異常伸長したポリグルタミンタンパク質(PolyQ)の分解を促進することを明らかにした。さらに、CRAGは転写因子SRFを活性化してc-fos依存的な抗レドックスシグナルを活性化して神経細胞死を抑制することを報告したが、その分子機構は不明であった。今回、CRAGはリン酸化されることによりELK1と結合してSRFを活性化することを明らかにした。さらに興味深いことには、CRAGは電子顕微鏡解析にて高電子密度を示す核内封入体を形成して、変性タンパク質を毒性の弱い凝集塊を形成することを見出した。このCRAGによる核内封入体を形成は生体内においても観察された。この核内封入体は様々なシグナル伝達の場として働く可能性が示唆されている。また、私たちはCRAG欠損マウスを作製し、解析を行った。CRAG欠損マウスは生後3週齢で致死を示し、大脳皮質神経細胞、海馬神経細胞、小脳プルキンエ細胞において広範な細胞死が認められた。さらにグリオーシスが認められ、神経細胞死の痕跡と考えられた。以上の結果より、CRAGは神経細胞の生存に必須の分子であることが明らかとなった。興味深いことに、CRAGは筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子産物を分解する活性も認められた。したがって、CRAGが脊髄小脳変性症だけでなく、ALSなど様々な神経変性疾患に応用できる可能性が示された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] CRAGによって形成されるMitoTracker陽性の核内封入体の解析2015

    • 著者名/発表者名
      玉井 勇、長島 駿、福田敏史、稲留涼子、柳 茂
    • 学会等名
      BMB 2015第88回日本生化学会大会合同大会・第38回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-03

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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