研究課題/領域番号 |
25460083
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
安田 智 国立医薬品食品衛生研究所, 再生・細胞医療製品部, 室長 (20381262)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 多能性幹細胞 / 心筋細胞 |
研究実績の概要 |
ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞から心筋細胞を作製し、心機能不全の治療に用いる再生医療への試みが現在盛んに行われている。我々は、マウスES細胞の心筋細胞分化の制御因子としてAW551984を既に見出している。AW551984は、VITドメインとVWAドメインを有する分子的な機能が未知のタンパク質である。マウスAW551984のヒトオーソログは、von Willebrand factor A domain containing 5A (VWA5A)であり、ヒト多能性幹細胞から心筋細胞への分化制御における役割は明らかになっていない。そこでVWA5Aの機能解析を行うため、ヒトiPS細胞にVWA5Aを標的とする特異的なshRNAをレンチウイルスにより導入し、VWA5Aの遺伝子発現が安定的に抑制された株を分離した。これらのshRNA発現株において、胚葉体を作成させることにより分化を促し、心筋特異的遺伝子の発現量を測定したところ、VWA5A遺伝子の発現抑制により心筋細胞への分化が抑制されていることが分かった。これらの結果は、マウスES細胞においてAW551984の発現抑制を行った場合の結果と一致しており、AW551984はマウスのみならずヒトの多能性幹細胞においても心筋細胞分化の制御因子であることが示唆された。現在、AW551984結合タンパク質と心筋細胞分化との関連についても、解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AW551984結合タンパク質の分子生物学的・生化学的解析の進展が予想よりも遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きAW551984結合タンパク質の機能解析を行う。特に多能性幹細胞から心筋細胞への分化において重要な役割を果たしている細胞シグナル経路のどこにAW551984結合タンパク質が係わっているのかを明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器の修理に要する金額が、見積り額よりもかなり低かったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、当初の研究計画通り物品費として主に細胞培養用試薬の購入に用いる予定である。
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