研究課題
ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞から心筋細胞を作製し、心機能不全の治療に用いる再生医療への試みが現在盛んに行われている。しかしながら、多能性幹細胞の心筋細胞分化を制御している分子機構においては、未だ不明な点も多い。既に昨年度までに、AW551984およびそのヒトホモログVWA5Aの発現をRNAiで抑制することによって、マウスES細胞およびヒトiPS細胞の心筋細胞分化が阻害されることを報告した。今年度は、AW551984とその結合タンパク質の心筋細胞分化の細胞シグナル経路における役割について検討を行った。HEK293細胞を用いたレポーターアッセイにより、多能性幹細胞の心筋細胞分化に重要な役割を果たすことが知られている細胞シグナル経路に、AW551984が関与することが明らかになった。またAW551984をノックダウンしたマウスES細胞で、この細胞シグナル経路を阻害したところ、心筋細胞分化におけるノックダウンの影響が消失した。以前に同定したAW551984と相互作用する心筋細胞分化の制御因子の候補から、この細胞シグナル経路への関与が報告されているものを絞り込んだところ、一つの遺伝子が抽出された。AW551984は相互作用するこの分子の機能を制御することによって、心筋細胞分化に影響を及ぼす可能性が考えられた。さらに詳細なメカニズムに関しては、現在継続して解析を行っている。
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