プロスタグランジンD2(PGD2)とプロスタグランジンE2(PGE2)は、それぞれの受容体へのクロストークが知られているが、その生理的役割や意義についての報告は少ない。本研究にてPGD2とPGE2は、それぞれEP2受容体またDP受容体に作用した場合、パーシャル・アゴニストではなく、バイアス・アゴニストとして特定の情報伝達系を偏重して活性化する事などを明らかとした。PGD2は癌の抑制、PGE2は癌悪性化への関与が報告されているが、内因性プロスタノイドのバイアス性を明らかにできた事は、受容体の生理的な役割を研究するうえで、これまでとは異なる解釈やアプローチを提供できる大きな成果であると考えている。
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