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2013 年度 実施状況報告書

脳発達期の自然免疫活性化によって惹起される精神発達障害の発現機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25460093
研究種目

基盤研究(C)

研究機関名古屋大学

研究代表者

永井 拓  名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (10377426)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードアストロサイト / 神経発達
研究概要

統合失調症の約30%は妊娠中の母親のウイルス感染に関連があると報告されているが、周産期ウイルス感染による胎児の脳神経発達障害の分子機構は不明である。我々は、polyI:Cを用いた周産期擬似ウイルス感染モデルマウスの脳機能障害の分子機構を培養細胞系で解析している。これまでに、polyI:Cはアストロサイトに作用し、アストロサイト-神経細胞間の相互作用に異常が生じること、アストロサイトで誘導されるインターフェロン誘導性膜タンパク質(IFITM3)は神経発達障害に関与する重要な神経発達障害関連分子であることを見出した。本研究では、IFITM3の下流でアストロサイトから分泌されるfollistatin like-1 (Fstl1)の病態生理学的意義について明らかにするとともに、新規治療標的の可能性について検討する。本年度はFstl1の分泌に関与するPolyI:Cの標的細胞がアストロサイトであるかどうかを調べるため、polyI:C処置後のFstl1の細胞外量をアストロサイトとマイクログリア細胞で調べた。その結果、polyI:Cを処置したアストロサイトではFstl1の細胞外量が著しく増加したが、マイクログリアでは有意な変化は認められなかった。また、Fstl1結合タンパクの探索を行い、細胞骨格系やGタンパク質をプロテオミクス解析によって同定した。これまでの検討によって、アストロサイトにpolyI:Cを処置するとIFITM3の発現が増加し、IFITM3の下流でFstl1の分泌が亢進することを見いだしており、Fstl1と神経発達障害の関連を示唆する知見を得ていることから、免疫染色法によりIfitm3とFstl1の細胞内局在を調べた。polyI:Cを処置したアストロサイトにおいてFstl1が細胞内で繊維状の構造を示し、Ifitm3とFstl1の共局在が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に計画していたFstl1の分泌に関与するPolyI:Cの標的細胞の同定、Fstl1結合タンパクの探索およびIfitm3とFstl1の関連解析は完了しており、目標はほぼ達成できたと考えられる。

今後の研究の推進方策

今後はFstl1による神経発達障害の機序の解明として初代培養神経細胞にリコンビナントFstl1を添加して培養を行い、樹状突起マーカー分子Microtubule-associated protein 2 (MAP2) および軸索マーカー分子Tau1の免疫染色によって神経突起伸展が抑制されるのかを調べる。また、神経伝達に重要なスパイン形成については、EGFPを遺伝子導入してスパインを可視化し、スパインの形状および密度を計測する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Matrix metalloproteinase-3 is a possible mediator of neurodevelopmental impairment due to polyI:C-induced innate immune activation of astrocytes.2014

    • 著者名/発表者名
      Yamada, S., Nagai, T., Nakai, T., Ibi, D., Nakajima, A., Yamada, K.
    • 雑誌名

      Brain Behav. Immun.

      巻: 38 ページ: 272-282

    • DOI

      10.1016/j.bbi.2014.02.014.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] PolyI:C誘発性神経発達障害モデルの有用性 (シンポジウム: 統合失調症失調症の生物学的研究の進歩-遺伝子特性~創薬の種の最前線-)2013

    • 著者名/発表者名
      永井拓
    • 学会等名
      第8回日本統合失調症学会
    • 発表場所
      北海道浦河郡、浦河町総合文化会館, 浦河ウエリントン ホテル
    • 年月日
      20130419-20130420
  • [学会発表] 精神発達に及ぼす遺伝―環境因子の影響に関する研究

    • 著者名/発表者名
      永井拓
    • 学会等名
      第59回日本薬学会東海支部総会・大会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市、名城大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 新生仔期polyI:C処置マウスの異常行動に対する抗精神病薬の効果とプロテオーム解析

    • 著者名/発表者名
      永井拓,千崎康司, Yu Jinghua, 山田清文
    • 学会等名
      第123回日本薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市、ウインクあいち
  • [備考] 名古屋大学大学院医学系研究科医療薬学・医学部附属病院薬剤部HP

    • URL

      http://www.med.nagoya-u.ac.jp/pharmacy/02/outline.html

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公開日: 2015-05-28  

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