スパイン形成不全は、神経回路に異常を呈する精神疾患の共通基盤である可能性が示されている。本課題では、精神疾患に関わるPACAPによるスパイン動態の制御機構を検討した。初代培養神経細胞においてPACAPによるスパイン密度の増加は、miR-132機能阻害やERKのリン酸化阻害剤により抑制された。また、PACAP欠損マウス由来の培養神経細胞にmiR-132を強制発現した結果、スパイン密度の減少が一部改善された。本成果は、PACAP欠損マウスにおける精神行動異常が、スパイン形成異常に関連することを示唆するものであり、精神行動異常がmiRNAにより制御される機構を明らかにする手がかりになると期待される。
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