研究課題
基盤研究(C)
血管平滑筋において、カルシウム活性化クロライド(ClCa)チャネルの活性化は、静止膜電位を脱分極側へシフトさせるため、血管筋緊張の増大をもたらす重要な要素である。近年、TMEM16遺伝子ファミリーに属するTMEM16Aが、様々な平滑筋に発現するClCaチャネルの分子実体として報告された。本研究では、マウス門脈平滑筋細胞に発現するTMEM16ファミリーの発現解析と機能解析を行った。門脈平滑筋において、TMEM16AのmRNAおよびタンパク質発現が認められた。また、門脈平滑筋細胞において、脱分極刺激によって活性化する外向き電流と再分極によって惹起される内向き末尾電流が観察された。これらの電流は、ClCaチャネルの阻害薬によって抑制された。次に、門脈平滑筋からTMEM16Aをクローニングしたところ、スプライスバリアントのabc体とacd体が大部分を占めた。abc体とacd体をHEK293細胞に発現させて、ClCa電流を観察したところ、末尾電流の時定数は、門脈平滑筋細胞の時定数よりも大きかった。そこで、門脈平滑筋細胞をアクチン骨格の重合阻害剤で前処置したところ、その時定数は延長した。さらに、全反射蛍光顕微鏡を用いたFRET解析によって、TMEM16Aのスプライスバリアント体は、ホモもしくはヘテロ二量体でチャネル1分子を構成することが示された。本研究によって、マウス門脈平滑筋細胞では、主にTMEM16A(abc)とTMEM16A(acd)のホモもしくはヘテロ二量体で機能的ClCaチャネルを形成していることが明らかとなった。また、ClCaチャネル活性は、アクチン骨格によって制御されていることも示唆された。以上の研究成果は、血管平滑筋に機能発現するClCaチャネルの生理機能を解明する上で重要な知見になると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
血管平滑筋に発現するカルシウム活性化クロライドチャネルのスプライスバリアント体を複数同定できた。また、カルシウム活性化クロライドチャネルの活性を修飾する内因性因子としてアクチン骨格を同定できた。
血管平滑筋に発現するカルシウム活性化クロライドチャネルの発現および活性を修飾する内因性もしくは外因性因子をさらに同定する。また、カルシウム活性化クロライドチャネルの血管生理機能を明らかにする。さらに、門脈圧亢進症などの病態におけるカルシウム活性化クロライドチャネルの機能変化などにも注目して研究を進める。
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