研究課題/領域番号 |
25460107
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
井上 俊夫 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (70458610)
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研究分担者 |
浦丸 直人 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (90424069)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乾癬 / Traf3ip2/Act1 / 掻痒 / 抗ヒスタミン薬 |
研究実績の概要 |
平成26年度はTraf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスの引っ掻き行動を指標として各種薬物の薬効評価と皮膚の組織学的検討を優先して行った.その結果,Traf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスは,BALB/cマウスと比べて有意な掻痒行動を示した.また,雌雄差では雌性マウスの方が雄性マウスより著明であった.次に掻痒行動に対する各種薬物の作用を検討した.その結果,第一世代のH1受容体遮断薬であるクロルフェニラミンおよびシプロヘプタジンは,本行動を著明に抑制した.オピオイドμ拮抗薬のナロキソンおよびκ作動薬であるナルフラフィンも本行動を抑制した.また,Traf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスの皮膚組織のヒスタミン含量は野生型マウスと比べて有意に高く,組織学的検討により,マスト細胞の増加に起因していることが明らかとなった.以上,Traf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスの掻痒行動にはH1受容体,オピオイドミューならびにカッパ受容体が関与していることが判明した. さらに,平成25年度はTh関連サブセット関連分子(サイトカインおよび転写因子)についてrealtime-PCR でmRNA発現状態を解析した.その結果,Th17関連分子の増加傾向を確認したが,その後の追加検討により,Th17関連分子(IL-17,STAT3およびRORγt)の発現がいずれも有意に亢進していることを突き止めた.さらに乾癬との関連が指摘されているIL-22およびIL-24 mRNAの発現も有意に亢進していることを明らかにした. 以上の結果から,Traf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスはアトピー性皮膚炎に類似した掻痒や皮膚の肥厚,表皮角化細胞の過増殖が認められるものの,Th関連サブセット関連分子のmRNA発現の解析結果からは乾癬の病態に類似することを極めて強く示唆する成績であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度と26年度はカリキュラム改定の関係で講義科目の重複があったことと,お茶の水キャンパスと埼玉キャンパスの両方で講義を行ったため,教育にかかるエフォートが増大したため.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は早急にJAK-STAT経路の阻害薬であるトファシチニブの薬効評価を実施し,その有効性の評価を行いたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では国際会議での発表を予定していたが,当該会議の日程が学内業務と重複し,参加できなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は年度当初から研究を前倒しで行い,期間内の研究遂行を目指す所存である.
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