研究課題
パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症などの神経変性疾患の最大のリスクファクターは老化です。現在、日本は超少子・高齢化社会になりつつあります。そして、若者の労働力不足、医療費経済、神経変性疾患の重篤患者に対する介護は深刻な社会問題となっています。このため、健康で、介護が必要でなく、労働力として期待される高齢者の生長・育養が必須の課題で、新規治療戦略や治療薬の開発が望まれています。本年度は、DJ-1ノックアウト(DJ1-KO)マウスを用い解析しました。マウス黒質線条体系におけるドパミン神経細胞数ならびにドパミン神経線維密度は、DJ-1遺伝子をノックアウト(消失)させても、著しい変化ならびに行動異常も認められませんでした。このDJ1-KOマウスにドパミン神経毒MPTPを30mg/kg、4日間、腹腔内投与することにより、パーキンソン病モデルマウスを作製した。ヒトDJ-1リコンビナントタンパク質のX線構造を用い、市販されている約250万個の化合物からin silicoバーチャルスクリーニングによりDJ-1結合化合物として見出したcompound-23をDJ1-KOマウスへのMPTP投与1時間前にcompound-23の0~3mg/kg腹腔内投与し、薬理学的行動変化、黒質線条体系のドパミン神経系のパラメーターについて解析した。MPTPの連続投与により、正常マウスおよびDJ1-KOマウスの線条体のドパミン量・ドパミン神経線維密度および黒質のドパミン神経細胞数は有意に減少し、運動機能も低下した。Compound-23の腹腔内投与により、これらのドパミン神経障害は有意に改善された。現在、家族性アルツハイマー病から見出されたアミロイドβ、プレセニリン1遺伝子の変異遺伝子を導入したマウスを用いて検討中です。このように次年度以降の研究に大変役に立つ意義深い研究成果を得ることができました。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、パーキンソン病モデル動物のDJ-1ノックアウト(DJ1-KO)マウスを用い解析しました。市販されている約250万個の化合物からin silicoバーチャルスクリーニングによりDJ-1結合化合物として見出したcompound-23をDJ1-KOマウスへのMPTP投与1時間前にcompound-23の腹腔内投与により、DJ1-KOマウスのドパミン神経障害は有意に改善された。このように次年度以降の研究に大変役に立つ意義深い研究成果を得ることができました。
平成26年度に得られたこれらの研究成果を基に、平成27年度は、ロテノンの長期投与(56日間)により作成するパーキンソン病モデルマウスにおいて、DJ-1結合化合物の末梢投与(腹腔内投与など)による作用についても解析します。さらに、アルツハイマー病モデル動物の変異遺伝子導入マウスにおけるDJ-1結合化合物の作用について実験する予定です。
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