本研究の目的は、アレルギー性疾患、炎症性疾患の発症や癌悪性化におけるpH感受性カリウムチャネルK2P5.1の病態生理学的役割を明らかにすることである。本研究では、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)モデルマウスを用いて、K2P5.1阻害により炎症、下痢、血便などの病態が改善することを見出し、炎症性サイトカイン産生の増加にCD4陽性T細胞におけるK2P5.1の発現・活性亢進が関与していることを示唆した。また、K2P5.1の機能不全型スプライスバリアントを単離し、Tリンパ球モデル細胞においてpre-mRNAスプライシング阻害剤がK2P5.1活性を抑制することを見出した。
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